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~ 今日の風 ~

~ 今日の風 ~

自由律俳句

(工事中)

畑のコスモス

 わたしを吹き抜けた風がコスモスを揺らす



  友らしい切り方でにんじんの天ぷら           (ハッちゃん宅

  高さの違う肩を並べて星を見ている

  父と母どちらにも似て似通った笑顔が三つ

  満天の星仰ぐアパートの細長い空
  

     ***

  (奈良で)*長男が6年生、二人で奈良の旅

  時の流れに鎮座している摩崖仏  
   
  風吹き抜けた竹林の向こうに仏さま

  いつも弟に譲っている子と枕を並べた             (ゆうすけ

  しずかなるとき技芸天の面差し

  曲がった向こうも竹薮

       ***

      
  つるバラの隙間から青空

  同じ時を過ごしたかった人想う窓に雨

  紅茶の葉ひらく間の雨の音



  障子の穴から新緑

  春一番友の帰国の知らせだった              (ヤマちゃん

  折れることのできない心に風吹き抜ける

  
  チェンバロの響き渡って星もある空

  病んでまぶしすぎる空

  心すこし軽くなって洗濯物を干す


  クローバー摘んで帰った日と同じ夕焼け

  病む時はやさしいことばを探す耳

  稲干す形はそれぞれに秋の真ん中


  黄昏に家路を急ぐライトが続く

  御仏につながりそうな夕焼け

  散るだけ散って沈黙の落ち葉


  雨降る動かぬままの赤とんぼ

  別れてもこんなにあたたか

  私でしかない私を見つめて化粧する


  あじさいもあざみも咲いて雨の中

  封を切る笑顔浮かべて封をする

  病癒えて秋晴れ


 (鎌倉・建長寺)

  照らし出された山門の敷居をまたぐ

  照らし出された老木の洞の暗さ

  お堂の甍見上げれば月に照らされている

  尺八のうねりも吸い込む老木の洞

  回廊渡る足裏に木地の凹凸

  尺八のうねり障子に影を映す


       ****

  さざんかもお地蔵様も雨の中

  かさこそとハンカチ落とし落ち葉の上で

  落ち葉の中で風を見送る

  みかん山色づいてにぎやか


  朝の輝き水面にのせて流れていく

  朝日受け川面一面鏡となる

  見下ろせば町の瓦輝いている



  バスは背に朝日輝かせ走っていく

  刈り込まれた土手に野の花ひっそり

  お茶の木刈り込まれて花一輪


  けむって家の灯も星となる夜

  力なく日当たりながら蜂一匹

  おにぎり持つ手から天道虫が飛び立つ

  
  見られることに慣れない指があわててる

  ハムスターのいのちを覗く小屋の穴

  今日一日を映して朝の鏡

  走り出す子に追いつけぬ脚を見る

  

  

  
  

    母の手そのままにおにぎり

  三人の孫走り寄るところに祖母

  父の来る日の湧水を汲んでくる

  おじいちゃん迎えて饒舌な家族となる

  種播けば雨もうれしく眺めている

  こんなに大きくなって北からの便り             (

  草焼きながら芋焼きながら父と夫と子ども達





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 わたしを吹き抜けた風がコスモスを揺らす

 濡れた石の月明かりを踏む

 ホームの一瞬の小鳥のようなキスだった

 陽射しも沁みる誰もいない日溜まり

 手にいっぱいの花束抱けば香る




 言い終えてオルゴール流れていた

 迷い道の遠く海が光ってる

 分かり合えて一直線に飛行機雲

 海は空より蒼くわりきれないでいる

 あした咲く蓮のつぼみ大きくゆれる




 みんな忘れたい岩風呂の湯気

 車椅子に吹くリコーダーは小さな秋だった

 四日ぶりのしっぽが振り止まない

 音になった風のポプラ並木を歩く

 いつかこんなことがあったようなヒグラシの声




 遠回りして彼岸花の一群れ

 闇い海の波の音ばかり

 あなたに会った日の雪が消えていく

 過ぎたはずの悲しみが青空にとけていく

 青空に続くこの道ゆっくりと上っていこう




 心の荷物降ろして一人旅の青空

 一人になって一人になりきれず蒼い海

 子はみんな枠にはまらず夏の午後

 海は空を空は海を映して冴えない日もある

 泣きたくなるほどどこまでも青い空




 雨の窓ガラスの森が崩れていく

 掌に乗るいのちが意思を持つ

 消えた花火の闇を見ている

 美術館の一角のちいさな笑い

テープからの笑い声で笑い出した


   一人になってしぐれている





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